パウダーメタラジーAM技術による新素材創製グローバル拠点構想

室蘭工業大学

キーワード:3Dプリンター・場所を選ばないものづくり

北海道は主力の農林水産業などの一次産業に加え、道南地域では「ものづくり産業」地帯が形成されています。北海道の環境を守りながら「ものづくり産業」が今後も維持、発展するためには、高付加価値への移行が重要となります。一方、製品の開発には多くの技術課題が伴い、開発期間の短縮やコスト削減は多くの企業の共通課題となっています。そこで、3Dデジタル生産技術の活用による、設計から試作までの効率化が重要となります。特に3Dプリンターによる金属などの材料を薄く重ねて、積み上げていく加工法の積層造形(AM)技術は、アイデアを目に見える形にすることが可能です。本事業では、金属の粉末を成型・焼結した粉末治金(パウダーメタラジー)とAM技術を活用し、優れた高温特性がある小型軽量発電機(MGT)などの開発を目指しています。

研究代表者

室蘭工業大学 もの創造系領域 機械工学ユニット 河合秀樹教授

室蘭工業大学 もの創造系領域 機械工学ユニット 楠本賢太准教授

室蘭工業大学 もの創造系領域 機械工学ユニット 佐々木大地助教

室蘭工業大学 もの創造系領域 機械工学ユニット 柴田義光准教授


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背景

近年、電力の規制緩和、新技術の開発、二酸化炭素削減という環境への要求が高まっており、最終的に消費するエネルギーは家庭で顕著に増加しています。このため、住民生活における快適性の追求とエネルギー消費の抑制を同時に満たす社会実現のために、大規模な集中発電とは異なる、地域や家庭での分散型エネルギーシステムに期待が寄せられています。そこで、将来、家庭に普及する可能性の高い小型軽量発電機(MGT)の試作・性能評価を行い、続いて自動車部品、農業機械、航空機部品などへ技術を広げ、ものづくり産業の活性化に繋げます。

3Dプリンター
解決したい地域課題・社会課題

・セラミックス(コンクリート、茶碗などの焼き物、磁石など)と複合化させる高温耐性や耐腐食性に優れている合金(高エントロピー合金)を構成している5種類の金属元素の選定
・3Dプリンター用のパウダー試作と評価
・地域連携と実施体制の強化

マイクロガスタービン
マイクロガスタービン
研究シーズ

・腐食合成法を用いた機能性セラミックスの作成

 

取り組み内容

小型軽量発電機(MGT)に使用する素材には、優れた高温特性のある硬質材料の開発が求められます。

・高温耐性や耐腐食性に優れている合金(高エントロピー合金)の創製

・セラミックスを構成する金属を特殊な方法で溶解・混合して得られる高純度な、粒度分布が一定な機能性セラミックスの創製

目指したい未来

北海道MONOものづくりビジョン2060」を策定し、北海道から世界水準の価値創造を目指しています。本推進計画の成果は、「自律分散型地域構造」と「付加価値の高い素材づくりのための研究」につながるものです。特にAM技術はアイデア(設計図)が瞬時に情報網を行きかい、製品(もの)は現地で製作可能であるため、地方の「ものづくり産業」に大きく貢献できると考えています。

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