SAVS (Smart Access Vehicle Service) 地域展開とサービス連携

公立はこだて未来大学/札幌市立大学

キーワード:MaaS・AI配車システム

SAVSとは、タクシーのようなデマンド交通(ドア・トゥー・ドアで人を運ぶ)と路線バスのような乗合交通(車両を共有しあいながら利用することによって、利用コストを下げ車両あたりの運用効率を上げる)の長所を掛け合わせ、好きな時間に行きたい場所まで安価に移動することを可能にしたサービスです。クラウド上のAIプラットフォームが車載のスマートデバイスや利用者のスマートフォンなどと通信し、車両と人・物が刻々と移動する状況において、全ての空間移動と希望時間を同時に満たす最適な車両の走行ルートを瞬時に計算、決定します。この技術・システムにより、まち全体における交通の最適化を実現します。
SAVSは、2010年から公立はこだて未来大学・札幌市立大・産総研・名古屋大学との共同研究で開発してきたシステムです。多数の実装実験過程を経て2016年には未来大学発のベンチャー(株)未来シェアを設立し、SAVSを運営しています。この推進計画では特に、北海道内における多地域展開や、人の移動だけにとどまらず様々な移動を最適化する新サービス展開を目指しています。

研究代表者

公立はこだて未来大学・教授/(株)未来シェア・取締役・平田圭二

札幌市立大学・学長/(株)未来シェア・取締役会長・中島秀之

背景

人口減少・少子高齢化の進展に伴う公共交通の利用者減に加えてドライバー不足がそれにさらに拍車をかけ、公共交通システムの維持が困難となっている地域が増え続けています。この状況に対する方策として取られる従来型のオンデマンド交通の導入は、事前予約の必要性や路線が限定的であるなど利便性に欠け、多くのケースでほぼ利用されない状況となっており、より使いやすいサービスの導入が望まれています。

解決したい地域課題・社会課題
  • 地域における高齢者や自力で移動が困難な方の、移動手段の確保

  • どんな方の移動手段も確保することによる、住み続けられるまちづくり     
  • 外出のしづらさが招く、高齢者の孤立やフレイル(加齢による心身の衰え)の防止

  • 個人の自家用車使用によるCO2排出の低減

  • 人以外のモノの移動やサービスの最適化による、ストレスフリーな社会

研究シーズ

事前予約なしで、リアルタイム/フルオンデマンド/AI便乗配車を行うことのできる、新しい交通サービスプラットフォーム

 

取り組み内容

【実証実験・本格導入】

  • 札幌市:2021年1月より、SAVSを利用したフードデリバリーサービス「食べタク」が運用開始しました。  詳細はこちら
  • 北海道南幌町:2021年10月よりSAVSを利用したデマンド交通「あいるーと」を、北海道内の自治体として初めて本格導入しました。  詳細はこちら

  • 北海道厚真町:2021年6月よりSAVSを利用したデマンド交通「めぐるくん」を、試験運行として開始しました。  詳細はこちら
  • 北海道中富良野町:総務省「令和3年度過疎地域持続的発展支援交付金」過疎地域持続的発展支援事業に採択され、AIを活用した自動配車システムの構築を実施しました。(~2022年3月31日) 
    詳細はこちら 

  • 北海道江差町:2021年2月よりSAVSを利用したデマンド交通を含めたMaaSの実証実験を行いました。 詳細はこちら
  • 北海道江差町:2022年10月より、上記実証実験の第2フェーズにあたる実証実験を行いました。詳細はこちら
  • 北海道函館市:2022年12月より、特定地域での交通利便性向上をめざすAIオンデマンド交通実感をおこないました。詳細はこちら

【各地域・団体との連携】

  • 2020年11月、サツドラホールディングス株式会社、株式会社駅探、株式会社未来シェア、公立はこだて未来大学、札幌市立大学が、北海道地域でのMaaS事業展開に関わる業務提携を締結しました。  詳細はこちら

  • 北海道江差町:2021年8月24日に公立はこだて未来大学と包括連携協定を結びました。地域の課題に迅速かつ適切に対応し、活力のある個性豊かな地域社会の形成、発展に寄与することを目的としています。 

目指したい未来

国連にて採択された17の持続可能な開発目標(SDGs)のうち、次の4つに貢献します。

 

3:すべての人に健康と福祉を
高齢者、要支援・要介護認定者等、自らの移動に困難を伴うみなさまの、健康的なくらしを支える交通を実現します。

9:産業と技術革新の基盤をつくろう
情報伝達を担うインターネットのように、移動を担うモビリティプラットフォームを提供します。人流、物流、生活、観光等、移動を伴う様々なサービスの価値と質の向上と、新たな産業の創出に取り組みます。

11:住み続けられるまちづくりを
公共交通の利便性を高め、運転免許を返納し自家用車を保有しなくとも、移動に困難を伴わないまちをつくります。大雨・洪水、地震等で発生する突発的な移動需要を補う、自然災害に強い都市基盤をつくります。

13:気候変動に具体的な対策を
必要な走行車両数を減らし、渋滞緩和、CO2排出量を削減します。

㈱未来シェア ホームページより https://www.miraishare.co.jp/company/

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