水産融合型資源活用システム構築

帯広畜産大学/北海道大学

キーワード:未利用資源循環利用

この推進計画では、十勝地域や国内で生産される食料の未利用・低利用資源を活用し、またその活用のしくみにも持続可能な方法を取り入れることにより、十勝地方における地域循環可能な食料生産プラットフォームの構築を目指しています。

鹿追町ではチョウザメを養殖していますが、チョウザメの卵(=キャビア)を取ったあとの「肉」の活用が求められています。また、十勝は大豆の一大生産地ですが、大豆を原料とする豆腐の製造時に出る大量の「おから」や「割れ豆腐」も、多くは廃棄されたり飼料となったりしています。池田町で生産が盛んなワインを絞ったあとのブドウの残渣も活用が期待されます。また、日本海域の海藻のうち食用として使われているのは約5%であり、低利用な資源です。さらには十勝地域で盛んな畜産業で出る家畜糞尿は、バイオマス資源として注目されています。これらの資源を有効活用するために様々なステークホルダーと連携してプラットフォームの構築を目指します。

【推進計画のイメージ】


YouTubeで密着動画を公開中!

研究代表者

帯広畜産大学 宮下和夫客員教授

背景

世界人口の増加や気候変動の影響により、食料不足が予想されています。特に良質なタンパク源である畜肉は、その生産に多くの穀類や水資源を必要とすることからも、タンパク質不足が特に深刻化すると考えられています。今後は環境負荷の少ないタンパク質をどのように確保していくか、どう作り出していくかが重要となります。また未利用・低利用の資源の中には栄養豊富なものやこれまでの習慣から使われずにいたものを、研究を通じて活用していく必要があります。

解決したい地域課題・社会課題
  • 未利用資源の地域内における有効活用とプラットフォーム構築
  • 新たなタンパク質の研究開発
研究シーズ

①陸上養殖:

  • チョウザメ養殖に必要はエネルギーを、家畜糞尿尿からのバイオマスエネルギーを利用する技術
  • チョウザメの疾病予防と高品質で風味に優れたチョウザメ肉開発を目的とした、未利用農産物の有効利用

②海藻飼料:

  • 海藻に含まれるポリフェノールに起因する疾病予防効果による新たな乳牛用飼料開発と未利用海藻資源の活用
  • 海藻タンパク質の活用した新たな食品素材を開発する技術

③乳酸発酵:

  • 海藻由来の乳酸菌を利用し、オカラとバレイショデンプン粕などの農産未利用・低利用資源から新たな食品素材を開発する技術
オカラ発酵物から試作したケーキ
取り組み内容

①チョウザメ飼料開発:

  • ポリフェノールを多く含むワイン残渣や、十勝の気候に合った作物であるベリー類や落花生を与えることにより、チョウザメの成長を促進させ、栄養価や食味を良くする実験

②海藻の利用:

  • 乳牛飼料に未利用・低利用海藻を与え、牛のゲップ(メタンガス)の低減や疾病予防効果を検証
  • 海藻由来の乳酸菌を活用してオカラやバレイショ粕を発酵させた新たな食材の開発
  • 海藻由来のタンパク質を活用した新たな植物性タンパク質食材の開発


鹿追町のチョウザメ

目指したい未来

もともと油の影響機能の研究をしていましたが、食料不足からタンパク質不足が起きることを知った時、食料生産について見直したいと考えこの研究に取り組んでいます。食料不足、海洋汚染、海洋資源枯渇という現状を踏まえ、環境に負荷をかけずにタンパク質を作ることや、まだ使われていない資源に入っているタンパク質に光を当て、新たなタンパク源としてできるだけ活用したいと考えています。

昨今、新たなタンパク源として昆虫食や代替肉などが話題にのぼりますが、豊かな食生活を送るうえでは「おいしさ」の追求は不可欠と考えています。みんなでいろいろな食材を使って料理を工夫することは、人間の営みにとって大切なことです。新しく、かつおいしい食材を作り出すことも使命として感じています。その中では、あまりに難しい技術や複雑な工程を用いるのではなく、なるべくシンプルに、エネルギーをかけすぎない手法を検討することも持続可能性や全体最適を考えるうえでは重要です。

今後はAI等の先端技術を用い、生産の段階から未利用資源排出量を予測し、その量に応じた最適な活用方法がわかるシステムについても検討し、次の世代でも食に困ることなくおいしく楽しく食卓を囲める社会の構築に貢献したいと考えています。

 

関連F/S調査

関連note

捨てるなんてもったいない。未利用資源の驚きの使い道 ~帯広畜産大学の研究を撮る