函館工業高等専門学校
キーワード:雪害対策、自動融雪ロボット
背景・内容
除雪は、北日本や日本海沿岸では身近で深刻な問題となっています。作業は重労働であるだけでなく、屋根の雪下ろしでは毎年のように死亡事故が報告されています。また除雪後の雪の処理にも多くの費用と手間がかかるだけでなく、近年では作業員の不足や機材不足による除雪の順番待ちという新たな問題も発生し、高齢化・人口減少が進む地域では早急な対策が迫られています。その状況は気候変動の影響によりさらに悪化しており、災害級の豪雪発生増加により、除雪問題はさらに深刻化・複雑化しています。
この推進計画では雪を速やかに、かつ省エネルギーで融かすことのできる自走ロボットの開発により、安全かつ効率的な除雪を可能にすることを目指します。
研究代表者
函館工業高等専門学校 生産システム工学科 電気電子コース 丸山珠美教授
解決したい課題
・除雪の重労働
・除雪機への巻き込み事故や屋根からの落下事故
・非効率な除雪作業(除雪待ち、除雪した雪の運搬作業等)
研究シーズ
・自律制御型除雪ロボット(ロボットが雪の上を融雪しながら移動)
・マイクロ波自動融雪装置(電子レンジの機能を応用した融雪)
・移動式融雪アイロン(融雪を目的とした可搬型の発熱機器)
取り組み内容
以下の要素技術を開発しています。
・電子レンジの機能を応用:マイクロ波加熱による短時間融雪法の開発
・電源ケーブル不要:除雪ロボットのワイヤレス給電の開発
・マイクロ波を融雪・給電両方に活用:ひとつのマイクロ波の共同利用による融雪とロボット駆動の実現
・無線での遠隔操作:気象や交通情報を反映させた、装置の遠隔操作と監視のための無線通信(AICT)技術の開発
・自動走行:ロボティクス技術による装置自動走行の要素技術の開発
この推進計画において、これらを統合した自動融雪システムを確立します。また、安全性を確保しつつ電波を漏らさず融雪ロボットをワイヤレス電力伝送で動作させる仕組みを構築し、特許取得を目指します。
目指したい未来
除雪の作業を軽減し、また融雪用マイクロ波を装置の駆動電力に再利用できる装置を開発します。これは、どんな場所でも瞬時に除雪できるため、雪の多い北海道でも安全で効率的かつサスティナブルな除雪を可能にし、地域社会でも除雪の心配なく安心して暮らし続けられる社会を目指しています。