デジタル技術を用いた農業および環境モニタリング技術の革新

酪農学園大学

キーワード:画像解析・マッピング

背景・内容

空から衛星やドローンを使って撮影した画像は、農業・環境・防災分野等の産業に広く役立つ情報を提供することが可能です。広い範囲の解析に適している衛星画像に対し、ドローンを使って撮影した画像は特定の範囲を解析するのに適しています。ドローンによって得られた画像の解析技術は、農業分野で一部土壌の肥沃度分析や作物の成長解析などで実用化が進んでいますが、今後は環境分野でも、情報の精細化や野生動物の行動把握などへの応用が期待されています。

この推進計画では、GIS※・リモートセンシング・AIを複合的に組み合わせた解析技術の構築を進めることにより、持続可能な北海道農業の実現を目指します。

 

※GIS(Geographic Information System)とは、地理情報システムのこと。地理的位置を手がかりに、位置に関する情報を持ったデータ(空間データ)を総合的に管理・加工し、視覚的に表示し、高度な分析や迅速な判断を可能にする技術。(国土交通省国土地理院HPより)

研究代表者

酪農学園大学 農食環境学群・環境共生学類 環境空間情報学 小川健太准教授

解決したい地域課題・社会課題

・農業分野における、より効率的な生産システムの構築、スマート農業の一層の推進
・野生動物の管理技術の構築
・自然災害発生時の状況把握技術の構築

研究シーズ

酪農学園大学では、1998年全国に先駆けGIS研究・教育を開始し、2011年「地域に貢献するGIS・データベースの開発及び空情報解析による循環型農業、環境保全手法の確立」をミッションとして、「農業環境情報サービスセンター」を学内に設立しました。これまでに様々な企業や団体と協定を締結し、GISデータの利活用について外部連携を進めています。これらの研究において、ドローンとGISAIによるディープラーニング(機械学習)などを組み合わせた解析技術を有しています。

研究成果は、下記の連携機関のサイトから利用可能となっています。

(1)環境保全向けデータ

(2)水鳥自動カウント

 

▼ドローン画像からの自動抽出

環境中の野生生物

牧草地に生えた雑草

 

取り組み内容

GIS、ドローン・リモートセンシング、AI を複合的に組み合わせた解析技術の構築を進めます。現在自治体や農業団体などとの連携やプロジェクトを多数進めていますが、関連組織の拡大により、さまざまな農業関連情報の搭載、酪農業・農業におけるGIS情報のさらなる普及を進めたいと考えています。

 特に重点的に実施するのは以下の3つです。

 ・衛星画像およびドローンを用いた農作物モニタリング
 ・ドローンを用いた野生動物の行動把握および個体数カウント
 ・ドローンによる高効率なマッピング手法の開発

 

目指したい未来

全国的に第一次産業の担い手不足が深刻化しているなかで、広大な農地を有する北海道において効率的な生産システムの構築やスマート農業の推進は喫緊の課題と言えます。また広大であるがゆえに対応が難しい、外来種を含む野生動物による被害の対策や、自然災害時の被害状況把握など、地域の産業や暮らしを維持するために求められていることは多くあります。酪農学園大学は、空間情報を中心としたセンシング技術の地域協働型研究のハブとなることで、持続可能な北海道農業の実現に寄与したいと考えています。