産業技術による北海道の農林水産業の効率化推進

産業技術総合研究所

キーワード:技術融合・バイオ資源循環

北海道の基幹産業である農林水産業においては、労働力の不足が深刻な課題となっており、生産性の向上などが求められています。また、持続可能な産業に向けた取組も喫緊の課題となっています。産業技術総合研究所北海道センターでは、農林水産業の技術開発の場に産業技術の専門家が加わり、専門性を活かして連携することによって革新的なイノベーションが起こると考え、農林水産業における異分野融合のための新規技術のマッチングの取組を進めています。この推進計画では、産総研が保有する膨大な技術シーズのうち、農林水産業へ応用可能と考えられる100以上の技術を活用し、地域企業との連携による事業化を目指します。

研究代表者

産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地圏資源環境研究部門 主任研究員 森本和也

 

【産業技術総合研究所の研究成果】

背景

北海道は国内最大の食料供給地域であり、農業産出額、漁業生産額が全国1位であるなど、農林水産業が重要な基幹産業となっています。一方、北海道では、全国より10年早く進む人口減少により、農林水産業では担い手や労働力の不足がますます深刻化しています。さらに、農林水産業の脱炭素化などによる地域での温室効果ガス(GHG)の削減への貢献も求められています。
そこで、機械化、自動化などの効率化をはじめ、様々な産業技術を農林水産業に応用していくことによって、これらの課題解決に取り組むことが今、求められています。

解決したい地域課題・社会課題

①農林水産業における自動化・省力化
②一次産品や食品に対する機能性の評価
③農林水産業における脱炭素化・温室効果ガス排出量の削減

研究シーズ

①除湿と加温を同時に行うことが出来る、高性能な粘土系吸着材であるハスクレイを開発。これを用いて、高湿度な空気を除湿し、その吸着熱により乾いた温風を作ることが可能。

 〇「100℃以下の廃熱を利用可能な蓄熱システムの本格実証試験を開始」

 

 〇「産総研が取り組む農工連携」

 

②栽培技術、機能性解析技術、分析技術、センシング技術、AI・IoTなど、活用可能な研究シーズを多数保有しており、対応する課題に応じて、マッチングを行います。

小型土壌分析装置
半自動草刈機
取り組み内容

・粘土系吸着材ハスクレイを用いて、実証試験を実施
・北海道における一次産業のニーズを把握し、課題解決のためのプロジェクトを推進

目指したい未来

北海道は、国土の22%を占める広大な大地を有し、国内最大の食料供給地域として重要な位置を占めています。さまざまな社会的な変化を背景に北海道の基幹産業である農林水産業を持続的にさらに発展させるためには、たゆまない技術革新へのチャレンジが必要です。
産業技術総合研究所北海道センターは、産業技術と農林水産業という異分野融合により、北海道の基幹産業である農林水産業のイノベーションを推進し、持続可能な第1次産業の発展に向けて貢献していきます。

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